ア
「どこへいこうと人間は間違ったことをする巡り合わせになる」
窓をあけたら煙草のにおいがぷんと鼻をついた。
私にとって煙草は「正しい」匂い。
売女どもにとって煙草の匂いは男を連想させるそうだけど生憎私はそうじゃない。
ただ懐かしくて胸が苦しくなる思い出にはいつもあの焦げた匂いがこびりついている。
純文学を読んでいたあの頃
そして私はこれまでにないほど焦ってる「人生の長さ」について
急に死ぬ事を恐れだした(ぼんやりしていた輪郭がはっきりと)
はっきりいって私はセックスしている暇なんてない!
とにかく本を読まなくちゃ、学ばなくちゃ、別の"何者か"にならなくてはならない
なんにもしなくても自分は価値ある存在だっていう勘違いをやめたの。